イリスのアトリエ エターナルマナ2 レビュー

アトリエシリーズ第7弾。
前作から完全ロープレ化し、今回が2作目のジンクス。
リバースでテイルズ評価が格段に下がった今、下剋上のチャンス!(笑)


序章 エターナルマナ2に対する期待と不安〜これがシリーズの正念場〜

まぁ、この事に関してはプレイ前レビューで語ってるのでそっちを参考に。

1章 システム編〜なにか変化が起こりそうです〜

アトリエシリーズの最大の問題はゲーム主要部分でのバランス。発売前に最大の焦点だったそれらの問題は解決できたのか?

1.主人公2人制

今回はシリーズ初の試みとして、主人公を男女一人ずつ置きました。調合パートを女主人公のヴィーゼ、ロープレパートを男主人公のフェルト。ヴィーゼはエデンを、フェルトはベルクハイデを動き回ります。シナリオごとに主人公が決まってるけど、ヴィーゼのシナリオでもフェルトに変更して戦闘することはできるし、その逆も可能。アイテムは設定上、「シェアドリング」により共有できるので問題ナッシング。シナリオそのものはその主人公でないと進まないけどね。いつでもアイテム探し、調合、レベル上げなどができるので快適に進むことができました

2−1.調合パート

調合パートはヴィーゼが担当ですが、そのレシピや材料を集めるのはほとんどフェルトの役目。マナと契約するイベントもあるんだけど、それもフェルトがベルクハイデでイベントを起こすからこそ発生するので。ヴィーゼの動けるエデンには店が2つしかないので、買える物も限られてるし。ヴィーゼはエデンで源素の塊を源素還元するのが主な役目なのです。

で、調合パートなんだけど、今までに比べるとやや縮小されたかなって感じがする。作れるアイテム数自体が減ったのかな。エタマナ1だとクレインの仕事はマナアイテムの調合だけで、そのマナアイテム自体はさほど種類があったワケじゃない。だけどショップ調合というラインでたくさんのアイテム調合要素があったし、アレンジ幅も多かった。だけど今回はアレンジ調合の幅も小さかったような気がする。完全ロープレ化した弊害と言えるかもしれないけど、このバランスは難しいかな。多くても面倒だし。それでも個人的にはやや物足りなかったと思う。従属効果まで極めようとすれば確かに複雑化はするが、そこまでする必要はないので。

2−2.マナ調合

エタマナ1からマナ調合の基本原理が変わった。マナアイテムという種類のアイテムを作るのが前回のマナ調合だったけど、エタマナ2では一度調合したユーズアイテムに限り、源素を使ってマナ調合する事が可能に。アクセサリや調合アイテムはレシピ調合しかないけど。

マナ調合はフェルトでもできるので、無駄に主人公切り替えもしなくていい。源素の確保は前作同様。フィールドオブジェクトの源素還元や戦闘でフェルトが敵を倒す時に入手できるけど、一番手っ取り早いのはヴィーゼがエデンに落ちている源素の塊を還元すること。アイテムの所持上限も前作で9個だったのが今回は99個まで増えたために一度レシピ調合したらすぐ大量複製が可能になった。おかげで前作で意外と使い所の難しかったアイテムも気軽に使える(しかも、誰でも使用可能)ようになり、戦闘での幅が広がりました。マナの疲れもなくなったので、いつ、どこでも、簡単にできるようになったのは非常にいいね。

2−3.武器調合

武器は今回全キャラ固定。だけど、特定のマナとアイテムを使って強化することができます。材料があっても2段階以上の強化はできない。武器にもスキルが備わっている場合があるんで、基本的には全部作っていくことになるんだけど。今までは武器は買っていたけど、今回、自ら作る=強化することになった分、錬金術という面ではより良くなったと思う。マナやアイテム必要だから、シナリオの段階以上に強い武器を作れないんで、バランスも壊れてないし。

3.アクティブコストターンバトル

前作での戦闘における問題点を改良したのが今回の戦闘システム。基本的には昨今ある半リアルタイムバトルではあるんだが、色々と違いがあるのです。こちらが取れる行動はチャージ攻撃、ブレイク攻撃、スキル、アイテム、防御、交代、フェルトとヴィーゼのみマナ調合。行動順はキャラの速度によって決まり、それが敵味方混じった状態でアクティブタイムバーに表示される。

今回は他ゲームのMPに当たるマナというのがなくなって、スキルの使用はスキルゲージに依存するようになった。スキルゲージはチャージ攻撃をすることで一番上昇し、その他、ダメージを受ける、防御するなどの行動によって上昇。技の効果によって1〜3ポイント消費する。スキルは装備品に備わっているが、スキルポイントを溜めることで装備品を外しても使えるようになる。スキルシステムはこのゲームのやり込み要素の一角。

ブレイク攻撃は相手の行動を遅くする効果があり、敵をバーの左半分に押しやることで気絶状態にすることができる。敵の行動直後のブレイク攻撃が効果的。ブレイク攻撃によるブレイク時間はブレイク攻撃を繰り返すごとに減るので無限コンボはできないが、コンボを増やす事で取得経験値やスキルポイントが増える

こうやってチャージ攻撃、ブレイク攻撃を組み合わせて行う戦闘システムは単純ながら時々刻々と変化する戦況に合わせて行動できて楽しかった。行動後のリバウンドが小さい防御を使うことでも戦略が広がるし。ただ、敵デザインがほとんど前作と同じだったのは痛いかな…。行動パターンも同じで、何を仕掛けて来るか分かっちゃったし…。

4.マップ移動

今回は目的地指定タイプ。WA4やったばかりだったんで違和感なし。というか、前作で妖精工房を通る必要があったりした無駄なマップをなくしたおかげで逆に世界を広く見せることができたくらいだと思う。調合パートがある以上はどうしても主要RPG部分で削らないといけない部分が出てくるんだが、前作ではそのあおりか、街もダンジョンも数個、挙句エンカウント率の高いワールドマップなどが進行を阻害してた。それをダンジョンと町のマップ、メインのシンボルマップを作るだけで解消できたんで。どうせなら完全ロープレ化以前と同じように、シンボルマップ移動中でもエンカウントしても良かったかなと思うけど。

WA4がそうだったけど、前作から街の数が少なくなるとどうしても世界観は小さく見えるよね。今回は逆だったんで良かったと思う。

5.買い物

前作ではほとんどが品切れ状態でできなかった買い物ですが、今回は常に在庫が99あるし、買ってもそのうちに補充もされるので、材料集めはある程度までお金で何とかなる。まぁショップ調合がないために前作みたく調合したアイテムを買えることがないので、前作ほどのありがたみはないけどね。

2章 音楽編〜出会いと共に始まって 終わること忘れた物語〜

実はこのシリーズの音楽はWAに引けを取らないほど評価しております。好きか嫌いだけで言えば、全体的にこれより上位に位置するゲームはあるんだけど、ゲーム音楽に必要な「世界観との一致」という点においてのみなら、おそらくWAよりも上かもしれない。そしてそこに絡んでくる主題歌の歌い手が、WAの麻生かほ里に次ぐ俺評価2位の霜月はるか。ある方面では麻生かほ里よりも有名だろう(笑)。ムービーはともかく、この主題歌はかなり好きです。ただ、霜月はるかが一番良い声を出すのはコーラス部分ではないかと。

俺はこの欧州民族音楽的なBGMが非常に好きで、特に前作エタマナ1ではその最高峰に立ったとまで言えるデキだった。ただ今回はやや評価ダウンかな。シリーズの中で今回が一番錬金術からは離れてた気がする=世界観が少し変わったのでそう感じるのかもしれないけど。

3章 キャラクター編〜「触ってもいい?(妖精さん)」「ダメ(ヴィーゼ)」〜

以上、エデンでの謎会話。そこはかとなくエロい(笑)

1.フェルト・ブランシモン

主人公男。冒険担当。エデンに異変が起きた時に深蒼のアゾットを抜いた事でエデンを救うために異世界ベルクハイデへと向かうことになる。剣を抜いて…か。深蒼の響きといい、サモンナイト3みたいである。剣に人格があるあたりはTODみたいだがな。基本設定はパクリっぽい(爆)

主人公らしく、戦闘ではどの局面でも使える万能タイプ。魔法攻撃しか効かない敵でも通常攻撃が効くアゾットのおかげで。器用貧乏なのはヴィーゼのお守りで取得できるエクストラブロウで解消。ヒット数も段違い。スキルが魔力依存でやや使い辛いのが欠点。

2.ヴィーゼ・ブランシモン

主人公女。調合担当だが、エデン内に落ちている源素の塊を還元して源素を確保する役割のほうが大きい。しかし調合はやっぱり女の子じゃないと盛り上がりませんよね。

…と見せかけて、終盤、6人目のキャラとして戦闘メンバー加入。レベル1でスキルもないが、この頃にはフェルトが集めた装備品が一杯あるわ、クロイツがくれたアロママテリアでガンガンHP回復するわでフェルトより冒険者向き(笑)。フェルトとともに戦闘中でもマナ調合できるが、今回は前もって大量生産できるのでしません。回復スキルのスペシャリストでボス戦では常にゲージを3以上にしておけば全滅はしないくらい。いつでもできるように後衛にいるといい。

3.ノイン

フェルトの最初の仲間。声が微妙に変(爆)。最初に仲間になったワリに、シナリオからは結構置いて行かれた感ありまくりですっ!だってトレーネのほうがキャラ強かったんよ。

序盤では直接攻撃や貴重な全体回復要員として八面六臂の活躍。中盤、フィーが皇女であることが発覚してヒロイン争いから脱落し、後半はヴィーゼ加入とともに戦闘からもお役御免という悲しいキャラ。取得できるスキルもほとんどフィーと被ってたし。スピードはチーム最速なのだが…。

4.グレイ

最年長。シブいオッサンなのだが、見た目がドラゴンなのが俺的マイナス。せっかくオッサンなのに…。

見た目通り直接攻撃のエース。属性ブレスによる全体攻撃も頼りになるが、やっぱり後半は置いてきぼり。フィーとヴィーゼが強すぎるんだよね…。戦闘能力はともかく設定が。

5.フィー

大鎌という得物がモエかんっぽい。アリス所属で。12年前に帝国によって滅ぼされたスレイフ王家の皇女。初登場時は暗殺者だったんだが、それが発覚した時に間違いなくヒロインになった。ゆえに今回の真ヒロイン。アインツェルカンプはかなり出世したスキルである。前作時はあんなザコモンスターが使ってた技でしかなかったのに…。

全体的にひ弱い感じはするが、スピードがあり、アインツェルカンプからの派生技が威力・ヒット数に優れるために様々な場面で活躍できる。ブレイク時のトドメには是非アインツェル絶影を。

6.ポウ

自称「閃光のポウ」。シリーズ伝統の妖精さん。7作目でとうとうパーティーキャラ入り。お調子者なのはともかく、女好きというのは今までの妖精さん観を良い意味で裏切ってくれた。その性格のツケもきっちり払わされてたし。お笑い担当。

パーティー加入時は頼りないが、装備品とスキルの揃う終盤には実はフェルトに引けを取らない活躍ができる。魔法生物も苦にしないし。攻撃範囲が小さいのは欠点か。

7.イリス

前作に登場したイリスと同一人物。6歳。その詳細についてはシナリオ編で。余談だが、クリア後おまけの「小さな女の子は好きですか?」というフレーズが非常に笑えた。

8.ケイオス

「瞬弟」の名を持つ帝国軍人。もうひとつのアゾット剣である「真紅のアゾット」の使い手。「深蒼」に対して「真紅」。「碧の賢帝シャルトス」と「紅の暴君キルスレス」の関係を思い出す。やっぱりサモンナイト3なのか!?(爆)

9.ガラハド

「剛弟」の名を持つ帝国軍人。ノインの父親で、ノインが唯一メインのシナリオに絡むための存在でしかなかったように思う。まぁガラハドはグレイとも関係があり、そういう点においては敵と味方を繋げる重要キャラではあったのだが。つーか、グレイよりガラハドが仲間になって欲しかった。

10.トレーネ

「魅弟」の名を持つ帝国軍人。つーか、軍人ではないが。微妙にパメラに似てる。ノインの幼馴染。トレーネと戦闘することはなかったが、一度は戦ってみたかった。一体どんな戦いをするのか。まさかぷにぷに使いではなかろうに。ぷにぷにはんどめいど(関係ない)

4章 シナリオ編〜「イリス」のアトリエなんだよね?〜

1.イリスのアトリエの補完

「イリスのアトリエ エターナルマナ2」というタイトルであり、イリスというキャラが存在している以上、前作のイリスと今作のイリスは同一人物である。…ハズなのだが、ゲーム内ではその事について一切触れられてない。だから断定しちゃっていいものかと思うんだけど(笑)

ちなみにフェルトとヴィーゼの名字はブランシモンで、孤児?であるイリスはヴィーゼに引き取られ、そのままブランシモンを名乗る。で、前作のリイタに繋がるワケです。…が、やっぱりその事には一切触れられてないんですよーーーーっ。

シナリオ内においてそれが出てくるのはイリスが原初マナ「リリス」の生まれ変わりであるという一点においてのみ。この辺りが今回のシナリオの中核だったワケだけど…いまいち消化不良だったかなぁと。エンディングでの解釈の仕方もあると思うけど、前作の世界観に繋がる部分がほとんど存在してないのが原因じゃないかと。

…というのも、ベルクハイデは明らかに前作の世界とは違うからね。幻獣の里やニルヴィアとか、一部見覚えのあるマップがあったりするのも事実だけど。エデン、もしくはエンディング後のエデンとベルクハイデが本来の一つに戻った世界をそのまま「天空都市アバンベリー」に置きかえられるか、っていう疑問もある。俺はエタマナ1立ち上げてアバンベリーを探索してみたけど、ニルヴィアのように同じマップはなかった。朽ちた錬金工房とかはそのままヴィーゼの工房かなと思ったんだけど。クリア後の闘技場におけるトリスメギストスの存在もね。

ゲームのシナリオとして見たら充分満足できるデキだったんだけど、タイトルとの一致性においてやや物足りなかったと思います。2が1よりも前の話なのは分かったけど、2のエンディング後から1の世界観への設定が全くなされておらず、それが消化不良の原因になっているんだろう。こうなるとエタマナ3が必要になってくるな…。だが、そうなると今度はイリスというキャラの設定上、調合パートが何でもアリになってしまうな(笑)

2.ヴィーゼよりもフィー?

キャラクター編でも書いたけど、今回のヒロイン対決はこの2人。最後の最後でヴィーゼがフェルトを追いかけたので盛り返したが、それまでは明らかにフィーが勝っていた。主要ロープレ部分で大きく貢献したのがフィーだったからね。最初は敵として登場し、仲間になり、打ち解けて、終いには皇女としてレジスタンスを指揮。こうなるともう誰の目にもヒロインはこっちだと思いますよ。ヒロインが弱いのはシナリオとしてどうかと。

まぁ今回は最初からフェルトとヴィーゼのカップリングが決まっていたので、この2人のイベントをあまり入れなかったってのもあるんだろうけど。その分、周りのキャラクターにスポットを当てたイベントが多かったんでそう感じるのかなぁ。最初からフェルトとヴィーゼというカップリングが決まっていた事の弊害と言えるかも。

…でもさっき書いたように、ヴィーゼが1人でベルクハイデへフェルトを探しに行ったのはヒロインとしての面目躍如だったよね。その必死さがなかなか好感が持てた

が、一部の人はイリスが真のヒロインであると言ってはばからない(笑)

終章 総括と次回作展望編〜「たる」〜

今回は非常に「たる」が弱かった。全キャラ聞けなかったし。…それはともかく総括ですが、今回の結論として大成功ということにしたいと思います。確かにシナリオの未整理部分やほとんどの敵が前作の流用というには痛かったし、やり込み要素というのが希薄だったというのはある。でもそれを差し引いても充分な楽しさはあったと思います。なんと言ってもアトリエシリーズに巣食い続けたあのバランスの悪さがほぼ全て解消されて快適にプレイできたんで。ただしその反面、ちまちました調合作業を苦にしない人や、アトリエシリーズを初めてプレイした人には物足りなさを感じるかも。ライトユーザー向けだろうな。

そして次回作展望を。個人的には今回のエタマナ2で最高のデキになったと思うんで、残った問題はさっき挙げた敵デザインの一新になるのかな。それに加えてシリーズ伝統の店経営、もしくはエタマナ1みたいなショップ調合を付けてもいいんじゃないかなと。

おまけ 俺的三大シリーズものの順位〜下剋上〜

…さて、前に日記にも書いたと思うけど、WA、サモンナイト、テイルズで構成される俺的三大シリーズものですが、それに次ぐ4位にあったアトリエシリーズ。いよいよ世代交代の波到来です。そんなワケで今の順位を。

1位…ワイルドアームズシリーズ
2位…アトリエシリーズ
3位…サモンナイトシリーズ
次点…テイルズシリーズ

とうとうテイルズが4位降格。テイルズが唯一アドバンテージを持っていた戦闘もリバースがかなり評価を下げたんで。テイルズはファンタジア以来、シナリオ評価が常に最低だし、音楽についても良かったり悪かったりを繰り返してる。キャラデザインもシンフォニアの藤島で多少持ち直したけど、その後いのまたに戻ったり新しい人になったりでやっぱりリカバリーしきれない。そんなワケで容赦無く落ちました。

ワイルドアームズも4でやや評価下げたけど、それでも安定したゲームなんで首位をがっちりキープしてます。サモンナイトは次が4でなく再び亜流で来たので暫定的に評価を下げてます。結果としてエタマナ2で猛チャージをかけたアトリエシリーズが通算7作目にしてとうとう上位争いに出てきました。おめでとー(笑)。エタマナ2の安定っぷりを保てるなら上位キープも夢じゃないです。頑張って欲しいな。


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